検査室は正確な検査を実施する部門であり、品質管理部門は検査室の結果を真剣に受け止め、製造部門と共に悪い結果の改善を着実に進める部門です。
製造責任者と品質管理責任者は、異なる人物がそれぞれ担当し、また細菌検査は専門部署が実施するようにします。検査結果に偏見や意図*1を持ち込むことは許されません。

*1 例えば、得意先に提出する細菌検査のデータを、納品規格の基準内に収まるように修正するなどがこれにあたります。

細菌検査を「正確」に行うのが検査室

「全く菌が検出されない」や「常に基準値(許容範囲)以上の菌が見つかる」といった話を耳にすることがありますが、よく確認してみると、実際は下記のようなことだったりします。

細菌検査で菌が一切検出されないケース
培地をシャーレに移す温度が高すぎて細菌が死んでしまっていた検査室が存在しました。

細菌検査ですべての検査結果で悪くなる事例
逆に、本来無菌であるべき希釈水の殺菌が不十分で、希釈水から細菌が検体に混入し、すべての検査結果が悪くなるケースもあります。

検査室では細菌検査、理化学検査、官能検査などの正確な検査が求められます。
すべての検査機器で毎日の校正を実施する必要があります。
人間の五感を利用する官能検査では、検査員の日々の体調管理が重要で、官能検査員は味覚を閾値*2の食塩水などで毎日校正する必要があります。

*2 閾値
味の存在が感知できるか否かの境目の濃度。あるいは識別できる最小の濃度。

出典:味の研究における官能検査の役割と有効性-Food Research & Development Laboratory, Ajinomoto Co., 1-1, Suzuki-cho, Kawasaki-ku, Kawasaki-shi Kanagawa, 210(https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1962/38/10/38_10_972/_pdf)

細菌検査(微生物検査)とは

細菌検査は、食品や水、環境サンプルなどに含まれる細菌の有無や種類、数を調べる検査方法です。
一般的には、シャーレに培地を広げ、試料を塗抹し、一定の温度で培養させて菌の増殖を促し、コロニー形成単位(CFU)を数えることで評価します。
細菌検査は、食品の品質や安全性を確保するために重要な役割を果たしています。

理化学検査とは

理化学検査は、物質の化学的・物理的性質を測定する検査方法です。
食品分野では、栄養成分分析や添加物の検出、残留農薬や重金属の測定など、さまざまな試料の成分や性質を調べるために行われます。
これにより、食品の品質や安全性が評価され、規格や法規制に適合しているかどうかが確認されます。

官能検査とは

官能検査は、人間の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を利用して食品の品質や特性を評価する検査方法です。
色、形、香り、味、食感などの感覚的な要素を専門の官能検査員が評価し、製品の品質や製造工程の管理、新製品開発などに活用されます。
官能検査員は、定期的な訓練や校正を行い、評価能力を維持・向上させます。

検査方法特徴適用範囲手法目的
細菌検査試料中の細菌の有無、種類、数を調べる食品、水、環境サンプルなど培地を用いた培養、コロニー形成単位(CFU)の計数食品の品質や安全性の確保
理化学検査物質の化学的・物理的性質を測定する食品成分、添加物、残留農薬、重金属など分光法、色差計、質量分析、濃度測定など食品の品質や安全性の評価、規格・法規制の適合確認
官能検査人間の五感を利用して品質や特性を評価する色、形、香り、味、食感など感覚的要素官能検査員による評価、定期的な訓練や校正製品の品質管理、製造工程管理、新製品開発
3つの検査方法の比較

「検査結果」を直接的に修正しない

「検査結果」を「直接的に」修正することはあってはなりません。
検査結果は、あくまでも問題を解決するために必要なデータであり、そのデータをもとに合格ラインの検査結果を出せるように改善しましょう。
細菌検査結果を確認する際に、整理された結果だけ提示されることがありますが、納品基準では検査結果が出た時点での報告が求められます。
細菌検査結果が悪い場合、返品になることもあるため、検査室と品質管理部門は正確な検査を行い、製造部門と協力して悪い結果の改善に努める必要があります。
簡単なことではありませんし、専門性が問われる分野ではありますが、それこそが検査や検査結果の意義なのです。