食品衛生7Sとは、食品の安全と衛生を確保するための基本的な取り組み手法のことです。
従来の工業5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を食品産業の実態に即し、「洗浄・殺菌」の2つの「S」を加えたのが、食品衛生7Sと呼ばれています。

食品衛生7Sとは

食品衛生7Sは、食中毒事故の増加を食い止め、食品の安全性を高めるために開発されたもので、食品業界においては非常に重要な位置づけとなっています。
例えば、目に見える清潔ではなく、微生物まで考えた清潔を目指すことが重要です。

  • 1.清潔
    身体や作業環境、道具などを常に清潔に保ち、細菌の繁殖を防ぐ
  • 2.しつけ
    従業員が衛生に対する意識を持ち、ルールを守ることができるよう指導する
  • 3.整理
    物品を適切な場所に保管し、必要なものがすぐに手に入るようにする。
  • 4.整頓
    作業場を整理整頓し、効率的な作業ができる環境を整える。
  • 5.清掃
    定期的に作業場や器具を清掃し、汚れや異物を除去する。
  • 6.洗浄
    食品に付着した汚れや細菌を除去するために、適切な方法で洗浄する。
  • 7.殺菌
    細菌やウイルスを無害化するために、適切な殺菌処理を行う。

食品衛生7Sの目的

食品衛生7Sの目的は、食中毒事故を予防することです。
近年、食中毒事故が急増しているため、対策が求められています。
食品衛生7Sの7つの要素を実践することで、食品の取り扱いや加工過程での細菌やウイルスの繁殖を防ぎ、食中毒のリスクを低減させることができます。

食品安全・安心の確保

もう一つの目的は、食品の安全・安心を確保することです。
食品衛生7Sを実践することにより、従業員の衛生意識が向上し、食品製造過程での管理が徹底されます。
管理が徹底されることによって、消費者に安全な食品を提供することができ、信頼を得ることができます。
また、安全で品質の高い食品を提供することは、食品企業にとってもブランド力や評価の向上につながります。
食品衛生7Sは、食品業界における安全基準の遵守と、消費者の信頼を築く上で重要な役割を果たしています。

食品衛生7Sの実践方法

7Sの取り入れ方や具体的な取り組み例について。

食品製造環境での7Sの取り入れ方

食品製造環境で7Sを取り入れるためには、まず各要素を理解し、組織全体で取り組む意識を持つことが大切です。
具体的には、各部署や役割に応じた7Sの実践方法を決定し、定期的な研修やミーティングを通じて共有し、従業員全員が理解し実践できるようにすることが求められます。

各要素の具体的な取り組み例

以下は、食品衛生7Sの各要素に対する具体的な取り組み例です。

  • 清潔:手洗いや手指消毒の徹底、作業着の管理、作業台や道具の清掃を行う。
  • しつけ:衛生マニュアルの作成や研修により、従業員に衛生ルールを教える。
  • 整理:原料や製品の保管場所を明確にし、ラベルや棚卸しを定期的に行う。
  • 整頓:作業スペースを整理し、無駄な動きを減らすレイアウトを計画する。
  • 清掃:定期的に清掃スケジュールを立て、徹底した掃除を行う。
  • 洗浄:適切な洗剤や方法で食材や器具を洗浄し、十分にすすぐ。
  • 殺菌:必要に応じて加熱処理や紫外線照射などの殺菌方法を選択し、適切に実施する。

これらの取り組みを行うことで、食品衛生7Sを実践し、食品の安全性を確保することができます。

食品衛生7Sの効果と評価

食品衛生7Sを実行することによって何がどのように変わるのかという点について。

食品衛生7S導入による企業内効果

食品衛生7Sとはの導入による企業内効果は次のことが考えられます。

  • 基本的に行うべき衛生管理の確率
  • ISO22000も視野に入る
  • 生産性の向上
  • リードタイムの短縮
  • 在庫の削減
  • 労働安全の確保
  • 組織の一体化による活性化
  • 企業内モラルの向上
  • コストダウンの効果
  • 納期遅れがなくなるまたは減る

食品衛生管理の向上

食品衛生7Sを実践することにより、食品製造過程での衛生管理が向上します。
各要素を徹底して行うことで、食品の取り扱いや加工過程における細菌やウイルスの繁殖を抑え、食中毒リスクを低減させることができます。
また、食品の品質管理も向上し、消費者に安全で品質の高い食品を提供することが可能になります。

従業員の意識改革

食品衛生7Sを取り入れることで、HACCP同様、従業員の衛生意識が高まります。
7Sの実践を通じて、従業員は食品の取り扱いにおける衛生ルールを学び、その重要性を理解することができます。
組織全体で7Sを実践することで、従業員間のコミュニケーションも活発になり、チームワークが向上する効果も期待できます。
結果、組織全体の食品衛生管理レベルが向上し、消費者に信頼される企業へと成長することができるでしょう。

食品衛生7Sの課題と今後の展望

優れた7Sも、定着しなければ意味がありません。
7Sを普及促進させ、常にアップデートし、そして持続させることが重要です。

食品衛生7Sの普及促進

食品衛生7Sは効果的な食品衛生管理手法であるものの、まだ十分に普及していない場合があります。
今後は、食品衛生7Sの普及を促すために、教育や研修、啓発活動を充実させることが重要です。
また、業界団体や行政が連携して、食品衛生7Sの取り組みを支援する仕組みを整備することも求められます。

持続可能な食品衛生管理への取り組み

食品衛生7Sの実践は、持続可能な食品衛生管理に向けた一歩となります。
しかし、継続的な改善や適応力のある管理システムを構築することが今後の課題といえそうです。
具体的には、最新の科学的知見や技術を取り入れた食品衛生管理のアップデートが必要です。
また、環境負荷の低減やエネルギー効率の向上など、持続可能性を考慮した取り組みを展開していくことが求められます。
これらの取り組みを通じて、食品衛生7Sはさらに進化し、食品業界全体の安全性と持続可能性を高める役割を担っていくでしょう。