実に基本的なことですが、基本こそ重要です。
今回はキッチンクロスやスポンジの正しい洗い方やその理由について簡単に説明します。
結論から先に言うと、キッチンクロスやスポンジの衛生管理は、「使用後はすぐ洗う」「乾燥させる」「定期的な除菌」こうなります。
それでは1つずつ見ていきましょう。

使用後はすぐ洗う

使用直後のキッチンクロスやスポンジには菌がたくさん付着(付着菌といいます)しています。
それを放置しておくとどうなるのか?
菌が一気に増殖します。
では、菌が増殖するとどうなるのか?
悪臭を放ったり(悪臭の原因はそのほとんどが菌の増殖です)、そのキッチンクロスやスポンジが他の何かと接したときにより多くの菌が次の対象(お皿やまな板、テーブル、人の手など)に移動し、菌を拡散することになります。
ですから、とにかく「使用後はすぐ洗う」ことが重要です。

洗い方
洗剤を適量手に取り、クロスやスポンジに塗布します。十分な泡立ちを得るため、水を加えて泡立てます。洗い終わったら、すすぎは十分に行いましょう。残った洗剤が雑菌の養分にならないよう、清潔な水で何度もすすぎます。クロスは絞って水分を切り、スポンジはしっかりと水を絞ります。このとき、スポンジは手で軽くたたいて形を整えましょう。

洗う際は、もちろん流水より洗剤が好ましいですが、流水でも半分程度の菌を流すことが可能です。
是非皆さんには洗剤を使って洗っていただきたいのですが、流水の意味というか意義についても少し触れると、たとえば、近年私たちは新型コロナウイスに苦しめられてきましたが、人の手とウイルスという観点でいえば、15秒の流水でウイルス量を1%程度にできる*1とも言われています。

*1 厚生労働省-手洗いの時間・回数による効果(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000105095.pdf)

乾燥させる

濡れたキッチンクロスやスポンジは乾かした場合と比較して、移動させる菌の量が著しく増加します。
しっかり洗うことを前提に、乾燥させることで、移動させる菌を90%以上減らすことができます。
キッチンクロスやスポンジを清潔に保つうえで乾燥工程は「菌を運ばない」ために非常に重要なポイントなのです。
「菌を運ばない」という考え方は非常に大切です。
たとえば、台拭きひとつとっても言えることですが、台拭きで菌が増殖していると、その一見汚れていないと思うような台拭きでテーブルを拭くことは、菌を移動させることに他なりません。台拭きにいる菌をテーブルにまんべんなく塗っているようなイメージをしていただくとわかりやすいかもしれません。

干し方・乾燥方法
風通しの良い場所で干します。
陽の当たる場所が理想的ですが、直射日光が当たらない場合でも、風通しの良い場所であれば乾燥が促進されます。

定期的な除菌

どれだけこまめに洗い、乾燥させても、少しの菌は残り、その菌は驚くべきスピードで増殖しています。
ですから、定期的な除菌が必要です。

正しい除菌方法
主に3つの方法があります。

1.60~90℃のお湯
60~90℃のお湯にスポンジを1分ほど浸した後、冷水で冷やしてから水気を切り、風通しの良いところで十分に乾かして下さい。何故、お湯から冷水なのかというと、菌は温度の変化が苦手なのです。熱いところから急に冷たいところ、あるいはその逆をすることによって菌を効率的に減らすことができます。

2.煮沸消毒
菌の種類にもよりますが10分間の煮沸消毒はほぼすべて菌に効果を示すと考えて差し支えありません。

3.除菌用洗剤の利用
今日では優れた洗剤が多くあるので、是非洗剤を使ってください。
ライオンのチャーミーVクイック、花王のキュキュット、P&Gの除菌ジョイコンパクト。
このあたりの洗剤は黄色ブドウ球菌や大腸菌に対する効果が高いことがわかっていますのでおすすめです。
洗剤を使って除菌をする場合は、まず1回目はよく泡立てながらキッチンクロスやスポンジを洗ってください。
2回目は同じように洗剤をつけ、泡立てたら、泡立てたまま10分も放置すれば大部分の菌に洗剤が接して除菌されます。

定期的な交換
除菌の頻度が高ければ交換頻度は低くて大丈夫ですが、たとえば1週間に1回は除菌をし、2週間〜3週間に1回程度の割合で交換するなどがひとつの目安になるでしょう。
身も蓋もないような話ですが、交換してしまえば、残存している菌の心配はほぼなくなりますので、交換頻度を高めることが最善であるという考え方もあります。
使い捨て製品というものは多くありますが、ティッシュやペーパータオルなどが良い例です。
ティッシュやペーパータオルの菌を気にする人はほとんどいませんよね?
それはティッシュやペーパータオルが使い捨てだからであり、使い捨てというのはそうでないものと比較して衛生管理が容易で確実性が高いという特徴があります。
とはいえ、キッチンクロスやスポンジ、台拭きなどをそうするわけにもいきませんので、定期的な除菌と合わせて交換をすることで経済的に衛生的な環境を保つようにしましょう。

以上がクロスやスポンジの正しい洗い方です。
衛生管理に気を配りながら、清潔なキッチン環境を維持してください。