工程内検査においては、各部位の洗浄が適切に行われているかどうかをチェックします。
機器や設備が動作している状態で、細菌が十分に検出できるようにしてから検査を実施することが重要です。
例えば、二次殺菌などの包装後の殺菌工程がない商品で細菌検査に異常値が出た場合、原因が不明のままにしないでください。
本記事では工程内検査の目的と洗浄を確認する工程内検査のポイントなどを解説します。

工程内検査の目的

食品工場における「工程内検査」の目的は、以下の通りです。

  1. 品質管理
    製品の品質を一定水準以上に保ち、消費者に安全で高品質な製品を提供することを目指します。工程内検査を行うことで、原材料から製品に至るまでの各工程における品質を確認し、必要に応じて改善を行います。
  2. 安全管理
    食品の安全性を確保するために、製造工程における微生物や異物混入のリスクを低減します。工程内検査を通じて、製造過程での衛生管理や洗浄・殺菌の確認を行い、安全性の確保に努めます。
  3. コスト削減
    製品の欠陥や不良品を未然に防ぎ、再工や廃棄のコストを抑えることを目指します。工程内検査により、製造工程での問題を早期に発見し、適切な改善策を講じることで、コストの削減につながります。
  4. 法令遵守
    食品製造に関する法令や基準を遵守し、製品の安全性や品質を保証します。工程内検査を実施することで、各工程での法令遵守状況を確認し、問題があれば速やかに対処します。
  5. 信頼性向上
    消費者や取引先からの信頼を獲得し、製品の評価を高めることを目指します。工程内検査によって品質や安全性が確保されていることを示すことで、企業の信頼性が向上し、市場での競争力を強化することが期待できます。

以上の目的を達成するために、食品工場では工程内検査を定期的に行い、問題点や改善点を明確化し、適切な対策を実施して品質管理や安全管理を徹底しています。

洗浄サイクルの確認

工程内検査の段階で、洗浄サイクルが正常に機能していることを確認し、洗浄や組み立て後の状況を把握します。
また、細菌検査を行い、状況が悪い場合は改善が適切に行われているかを日々チェックすることが求められます。
機器や設備の洗浄は作業終了後に実施し、その適切性を目視で確認します。

洗浄が終わった後、スワブやATP(アデノシン三リン酸)を用いた検査キットでタンパク質の洗浄状況を確かめます。
洗浄完了時には細菌検査を行っても、殺菌剤などが残っていることがあるため、細菌検査は翌日の組み立て後に実施します。使用開始前の拭き取り検査では、一般生菌数や大腸菌群を測定します。

機器や設備で動作する部分は、動かしてから測定することがポイントです。
回転部分などが隠れていて洗浄が不十分な場合、動作を開始すると細菌が検出されることがあります。
包装工程の設備においても、製品が設備を通過する前後の製品検査が有効です。

洗浄サイクルの確認

例えば、ミートスライサーやカッターでは、スライス前後の肉の細菌検査を行い、菌数の比較からスライサーの汚染状況を明らかにします。
この方法で問題のあるラインを調べる際は、時間的・日間・月間・年間の変動を把握できるように検体を採取することが必要です。
細菌検査で問題がある工程を特定する場合は、1時間ごとに1検体ずつサンプリングし、一週間検査を継続します。
細菌検査の結果から時間、曜日、作業者などに特徴があるかを検討し、改善策を見つけ出すことが重要です。

毎日の洗浄・殺菌が確実に実施されているかどうかの確認が必要
これにより、製品の安全性と品質を維持することができます。

動作する部位に関しては、運転を開始してから検査を行うように注意する
これにより、隠れた細菌の存在や汚染状況をより正確に把握することができます。

事故発生率を下げるために
最終加熱後の包装工程や生産設備では、朝一番や生産中などのタイミングで拭き取り検査を実施し、洗浄および殺菌が適切に行われているかどうかを確認することで事故発生率を下げましょう。

食品工程内検査の洗浄確認チェックシートの項目は?

基本的なチェック項目を記載したシートのPDFデータを公開しています。
PDFデータはあくまでもサンプルですので、現場の状況・工程順序などによって自由に改変してお使いいただければと思います。

その他に考えられる追加項目は以下です。

  1. 製品ごとの洗浄方法の確認:製品に応じた適切な洗浄方法が実施されているか確認する。
  2. 洗浄剤の適正使用:洗浄剤の種類、濃度、使用期限が適切であるか確認する。
  3. 洗浄機器の点検:洗浄機器の状態や機能が正常であるか確認する。
  4. 洗浄時間の確認:洗浄時間が適切であるか確認する。
  5. 洗浄前後の状態比較:洗浄前と洗浄後の状態を視覚的に比較し、洗浄効果を評価する。
  6. 洗浄温度の確認:洗浄水の温度が適切であるか確認する。
  7. 洗浄水の交換頻度:洗浄水が定期的に交換されているか確認する。
  8. スポンジやブラシの状態:洗浄用具が清潔で適切な状態であるか確認する。
  9. 洗浄後の乾燥状態:洗浄後の乾燥が適切に行われているか確認する。
  10. 洗浄エリアの衛生状態:洗浄エリアが整理整頓されており、衛生状態が良好であるか確認する。

これらの項目を追加することで、チェックシートがより詳細な洗浄確認を可能にします。
チェックシートの項目に沿って検査を行い、必要に応じて改善を実施し、品質管理、安全管理、品質の維持向上にお役立ていただければ嬉しく思います。