HACCPは、食品衛生管理の手法の1つであり、食品を生産・加工する過程で起こりうるリスクを分析し、それらを予防することで、食品の安全性を確保する方法です。
飲食業や食品工場において、食品の安全性を確保するために必要な取り組みがあります。その中でも重要なのが「HACCP」です。

HACCPの完全義務化

HACCP完全義務化までの流れ
HACCP完全義務化までの流れ

2021年6月以降、HACCPは食品を扱うすべての事業者に対して、義務化されました。

これは、我が国の食をとりまく環境変化や国際化に対応し、食品の安全を確保するための取り組みであり、広域的な食中毒事案への対策強化や事業者による衛生管理の向上、食品による健康の維持増進を目的としています[1]。全ての食品等事業者には、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施が求められます。ただし、小規模営業者等*1は厚生労働省ホームページで公表している手引書を参考にすることができます[2]。

*1 「小規模営業者」の定義
  • 食品を製造し、又は加工する営業者であって、食品を製造し、又は加工する施設に併設され、又は隣接した店舗においてその施設で製造し、又は加工した食品の全部又は大部分を小売販売するもの(例:菓子の製造販売、豆腐の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売等)
  • 飲食店営業又は喫茶店営業を行う者その他の食品を調理する営業者(そうざい製造業、パン製造業(消費期限が概ね5日程度のもの)、学校・病院等の営業以外の集団給食施設、調理機能を有する自動販売機を含む)
  • 容器包装に入れられ、又は容器包装で包まれた食品のみを貯蔵し、運搬し、又は販売する営業者
  • 食品を分割して容器包装に入れ、又は容器包装で包み小売販売する営業者(例:八百屋、米屋、コーヒーの量り売り等)
  • 食品を製造し、加工し、貯蔵し、販売し、又は処理する営業を行う者のうち、食品等の取扱いに従事する者の数が50人未満である事業場(事務職員等の食品の取扱いに直接従事しない者はカウントしない)

出典:厚生労働省-HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化(https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000662484.pdf)

HACCPを導入することで、生産工程におけるリスクを事前に予測し、食品安全上の問題を未然に防ぐことができます。

例えば、食品工場での製造ラインの例を挙げます。
HACCPにより、原料から製品が出来上がるまでの全工程において、危害を予防するためのCCPが設定され、それらの管理について明確な責任が割り当てられます。生産ラインにおいて、CCPとして設定された場所においては、食品の温度や加熱時間などを管理し、不適切な状況が生じた場合には、製品を廃棄するなど、対応措置を取ることが求められます。

食品衛生法に基づき、衛生管理の徹底を求められる食品業界において、HACCPは食品安全の確保に欠かせない重要な要素となっており、食品業界に従事する者にとっては、HACCPについて十分に理解し、実践することが求められます。

[1] 厚生労働省-改正食品衛生法における器具・容器包装に関する政省令等の策定状況について(https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000579334.pdf)
[2] 厚生労働省-食品衛生法の改正について(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197196.html)

[もっと詳しく]
すぐわかる!HACCP(ハサップ)ガイド